隗より始めよ

殆どの人はこの『隗より始めよ』の意味をご存知だと思います。


意 味:遠大な事をするには、まず手近かなことから始めるのがよいということ。また、事を始めるには、言い出した本人から始めよ、の意にも用いる。

しかし、なかなか出来ないもので、「誰か○○してくれないかなぁ〜」みたいなことを言って、逆に「まず隗より始めよ」と言われることの方が多いのではないでしょうか。そういう意味では、XP祭りのスタッフの方々は『隗より始めよ』を実践されている稀有な例だと言えます。

昨年、私はXP祭り2010で講演をしてきました(その時の話はこちら)。XP祭り2010でもコンテンツ公募でしたが、残念ながら私一人だけが公募に応募していたのですが、私も無事コンテンツを担うことが出来ました。その時、下の王様の様にカンカンに怒って、来年(=XP祭り2011)はコンテンツ公募しない!と思わず、今年(=XP祭り2011)も引き続きコンテンツ公募を実施されました。


カイのあと、燕王となった昭王は、家臣の 郭隗(かくかい)に尋ねました。
「天下の賢者を招き、国政を委ねて、斉に被った恥をすすぐにはどうしたら良いだろうか。」
郭隗は答えました。
「私は、次のような話を聞いたことがあります。昔、ある君公が千金をもって、一日に千里を走る馬、いわゆる千里の馬を手に入れたいと求めました。 しかし、3年経っても手に入れることが出来ません。すると、宮中の小間使い(取り次ぎの者)が、『私が行きましょう』と言って、探しに出ました。彼は、3ヶ月後に千里の馬を見つけましたが、すでにその馬は死んでいました。しかし、彼はその死んだ馬の首を五百金で買って帰り、 君主に報告しました。君主はカンカンに怒り、『私が欲しかったのは、生きている馬だ。どうして死んだ馬に五百金も払って来たんだ。』と言いました。小間使いは、動じずに、『死んだ馬ですら五百金で買ったのです。生きている馬なら、いったいいくらで買うのだろうと思うでしょう。 千里の馬はたちどころにやって来るでしょう。』果たして、1年も経たないうちに千里の馬が3頭ももたらされた、ということです。」
王がもし、優れた人物を招聘したいとお望みであれば、まず、この私、郭隗よりお始め下さい。
(先づ隗より始めよ)
私のような者でも取り立てられるとすれば、私より優れた人物はなおさらだと思うでしょう。きっと、千里の道を厭わずにやって来るに違いありません。

結果、今年(=XP2011)は多くのコンテンツが公募で集まりました。

  • 『C-3 Agile Buffet〜現場に適したプラクティスを取り分けるワークショップ【ワークショップ】』を開催する長沢 智治さんはエヴァンジェリストとして大変有名な方です。
  • 『B-6 (仮)情報共有ゲーム【ワークショップ】』を開催するやっとむさん、『C-6 Scrumはじめの一歩【ワークショップ】』を開催する西村 直人さん、吉羽 龍太郎さんの両名はアジャイルスクラムのコーチとしても知らないものはいない方です。
  • 『D-3 TDDミニ』を開催する和田 卓人さんはTDD業界では知らない人間がモグリと呼ばれる様な方です。

他にも数多くの著名人がコンテンツ公募に応募しています。

これも全て「私*1のような者でも取り立てられるとすれば、私より優れた人物はなおさらだと思うでしょう。きっと、千里の道を厭わずにやって来るに違いありません」をXP祭りのスタッフの方々が実践された結果だと思います。ご興味を持たれた方は是非9月3日 XP祭り2011 〜XP祭りX(テン) - XPX〜(東京都)にご参加ください。

*1:私=changeworld